あなた自身の事故や、大切なお友達やご家族が事故にあった場合など、交通事故にあったときの
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当院にお任せください!
【コラム】誰も教えてくれなかった「物損示談」
「時価」の算出法⑨
保険会社や共済からクルマの時価を告げられた時には、
必ず「時価の根拠は何ですか?」と聞きましょう。
帰ってくるのが、「アジャスターが算出した」という答えであれば、
それは根拠になりません。
問題は、アジャスターが何を根拠に算出したかです。
アジャスターの経験や勘では、正確な時価の算出とはいえません。
保険会社や共済が「算出の根拠はレッドブックです」と答えたときは、
自分でその頁を探して読むか、保険会社・共済にコピーをもらって確認してください。
その場合、チェックしなければならないのは、表紙の年月です。
事故日と一致する月の月報が必要です。
【コラム】誰も教えてくれなかった「物損示談」
「時価」の算出法⑧
レッドブックを使用して時価を算出するのは、現在では保険業界のルールとなっています。
裁判で時価を争ったとき、裁判所はこれを根拠に時価を決定する事例が多いからです。
しかし、いくつか問題があります。
この本には、新車発売後1年経過のクルマから7年経過の車までを掲載しているので、
8年を超えたクルマの時価はわかりません。
また、東京地区の業者価格を対象に調査、作成しているため、
大阪や福岡、札幌などでも同じ価格かどうか疑問です。
②インターネットか中古車情報誌を調べて時価を算出する
これらによる時価算出法と注意については、既に説明済みです。
【コラム】誰も教えてくれなかった「物損示談」
「時価」の算出法⑦
新車登録後1年を超え、7年までのクルマは、中古車市場で活発に取引されているため、
安定した中古車価格を知ることができます。
①レッドブックの「中古車価格(小売)」欄を見る
これは、最高裁判所判例で示された「中古車市場で取得する価格」を実際に表した数字です。
レッドブックとは、有限会社オートガイド社が毎月発行する「オートガイド自動車価格月報」の
ニックネームです。手帳ほどの小さな本で、「国産乗用車」「輸入自動車」
「トラック・バス」「2輪車・軽4輪車」の4冊シリーズ。
調べたい車種がないという事はまずありませんが、一般書店で売っていないため
直接申し込みます。
【コラム】誰も教えてくれなかった「物損示談」
「時価」の算出法⑥
②減価償却定率法での算出
中古車情報誌やインターネットを調べても見つからないときには、
最高裁判所のいう「特段の事情」ですので、減価償却定率法で計算します。
この時は、日別とは違って月別の「経過月数 定率法未償却残存率表」を使って計算します。
【コラム】誰も教えてくれなかった「物損示談」
「時価」の算出法⑤
中古車情報誌には「カーセンサー」「GOO」「輸入車中古自動車価格ガイドブック」などがあります。
各地で販売されている中古車情報誌は、それぞれの地域価格を反映しているため、
より現実味のある価格となっております。
ところが、保険会社や共済は、「中古車情報誌やインターネットの価格は、あくまでも自動車販売店の
希望販売価格であり、実際の取引では値引きが行われているため、実勢価格はこれを下回る」という
理由を付けて、なかなか認めない場合があります。
しかし、保険会社や共済が正確な実勢価格をつかんでいるかといえば、そのようでもありません。
所詮、算出が簡単な減価償却法にするための話なのです。
実勢価格を証明するものを保険会社や共済が出さないなら、努力して中古車情報誌やインターネットから
収集した価格を認めてもらいましょう。
この価格以外に時価を証明する手段はないのです。
【コラム】誰も教えてくれなかった「物損示談」
「時価」の算出法④
次は、新車登録後1か月を超えて1年までのクルマの時価を算出する方法です。
この範囲にあるクルマは、そろそろ中古車市場に出回り始めます。
しかし、まだまだ販売台数は少なく、車種も限られています。
①中古車情報誌やインターネットの中古価格サイト等の情報から価格を算出します。
但し、最初に見つけた1台の価格をみて、「これが時価だ!」と決めつけるのは軽率です。
裁判所は、「中古車情報誌に1台だけ掲載されていた価格では、本当の時価を表していない」と
判断していますから、何台も掲載されている場合は、それらをすべて書き出します。
そして平均価格を計算して、これを請求する時価とします。
【コラム】誰も教えてくれなかった「物損示談」
「時価」の算出法③
一般の自家用乗用車は法廷耐用年数が6年ですから、新車登録後1か月経過した時、
新車価格の96.8%が時価になります。
この場合の新車価格とは、車両本体価格です。
要するに、1か月に3.2%減価するわけですから、1日あたりほぼ0.1%減価する計算になります。
新車登録後10日目のクルマの減価額は、0.1%×10日で1%です。
したがって、10日目の時価は99%となります。新車価格300万円の場合は、
300万円×99%=297万円です。
【コラム】誰も教えてくれなかった「物損示談」
「時価」の算出法②
新車登録1か月以内のクルマが事故に遭い、大きく壊される気の毒なケースがあります。
まだ慣らし運転中に壊されたというやりきれない思いもあって、
裁判に持ち込まれるものも多いようです。
このような新しいクルマの場合は、中古車市場に出回ることもありません。
ですから、最高裁判所がいく中古車市場で価格を調べようとしても、価格はわかりません。
これはまさに、最高裁判所判決でいう「特段の事情」に当たりますので、
減価償却定率法を用いて時価を算出します。
減価償却の方法には、定率法と定額法の2つがありますが、
自動車の時価設定では定率法によります。
それは、自動車の価格が使用年数とともに急激に低下しますから、
定率法が実態に合っているとされています。
【コラム】誰も教えてくれなかった「物損示談」
「時価」の算出法①
全損か、分損かを区別するルールは、修理費と時価の比較にあるということは前述したとおりです。
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時価とは、クルマが事故に遭う直前の価格のことです。
過去の判決では、被害に遭ったクルマと同じ車種、同じ年式、同じ型式、同じような使用状態、
同じような走行距離、こういう条件に合った車を中古車市場で「買う時の価格」が
時価だと定めれました。つまり、中古車市場に「売るときの価格」ではないのです。
しかし、中古車市場で買う価格といっても、販売店によって、また地域によってもまちまちです。
そのような場合、違う価格のどれを取るのか? 中古車販売店に同じクルマが
見つからないときはどうするのか? という問題が残りますが、
最高裁判所はそこまで細かなことは何も言っていません。
【コラム】誰も教えてくれなかった「物損示談」
「修理をしたくない」「修理をしてほしい」④
Bさんの気持ちはわかりますが、30万円を出せば、中古車市場で同じような車を買うことができます。
それなのに53万円を要求するのは、経済的合理性を無視している、それが保険上のルールです。
このようなケースで、被害者と加害者(保険会社)の見解が対立することは少なくありませんが、
客観的な基準である「全損・分損のルール」に沿って、
冷静に判断することが必要です。
【コラム】誰も教えてくれなかった「物損示談」
「修理をしたくない」「修理をしてほしい」③
少し古めのクルマが被害に遭ったケースを紹介します。
Bさんは追突事故でクルマを壊されてしまいました。
修理工場が出した修理見積額は53万円。Bさんは53万円を払ってもらって
クルマを元通りに修理したいと要求しました。
ところが保険会社は修理を認めず「30万円しかお支払いできません」と返事をしてきました。
修理するにはあと23万円足りません。
「100対0の追突事故で、修理費すら満足に払ってくれないのか?
こうなったら残りの23万円を加害者に直接請求したい」
というのが、Bさんのとった解決法でした。
Bさんのこの要求が通るものなのか? それとも保険会社が提示した30万円で
納得しなければならないのか? これを決めるのも、前のAさんのれと同じく、
クルマが全損か分損かの判断次第です。
Oさんのクルマの時価が30万円なら、修理費は時価を上回ってしまいます。
つまり、時価を超える修理費を要求することは認められていないので、
保険会社から30万円を受け取って解決するしかありません。
【コラム】誰も教えてくれなかった「物損示談」
「修理をしたくない」「修理をしてほしい」②
「全損、分損のルール」に基づき、まず、修理費120万円と、このクルマの時価を比較検討します。
修理費が時価より低いと分損、修理費の方が高いと全損(いわゆる経済的全損)になります。
分損なら、Aさんの査定価格の支払い要求は通らなくなります。
修理費を払ってもらって解決しなければなりません。
全損なら、Aさんの要求通り査定価格の支払いで解決です。
【コラム】誰も教えてくれなかった「物損示談」
「修理をしたくない」「修理をしてほしい」
「修理はしたくない。クルマの査定価格を現金で払ってほしい」
「いいえ、修理代が損害です。査定価格を払うことはできません」
これは、とある事故の被害者Aさんと保険会社との間で実際にあったやりとりです。
新車を買ってわずか2か月でぶつけられ、新車同様の車が大破。修理見積は120万円。
こんな大修理をしたのでは、クルマはどうせ元通りには直らない。
だから修理なんかせずに、査定価格を払うべきだというのがこの被害者様の主張です。
この気持ち、新車のオーナーなら痛いほどわかります。
実は、同様のケースで悩みを訴えてくる人はとても多いのです。
そこで、このAさんの要求が正しいのか、それとも保険会社の言い分が正しいのか、?
これを判断する基準は、クルマの損害が「全損」か「分損」かで決まってきます。
【コラム】誰も教えてくれなかった「物損示談」
クルマの損金は「全損」か「分損」に区別される②
年式が古いクルマの場合は、修理費と同時に「時価」がどのくらいかを考えます。
古いクルマの時価は、ドライバーが思っている以上に低い金額です。
実は、全損と分損の区別には、はっきりしたルールがあります。
そのルールに従って、修理業者も保険会社も判断しています。
【コラム】誰も教えてくれなかった「物損示談」
クルマの損金は「全損」か「分損」に区別される①
クルマをぶつけられた被害者がクルマの損害賠償を請求するとき、
最初に確認しなければならないのは、クルマの損害が「全損(全部損害)なのか?」
「分損(部分損害)なのか?」ということ。
全損と分損では、請求する内容が全く違ってくるので、まずはこの区分が重要です。
たとえば、「ボディを少しこすられた」「バンパーが少し曲がった」といった程度の
小さなキズなら「分損」と判断してよいでしょう。
問題は、見た目に大きく壊れたときや、クルマの年式が古い時です。
注意しなければならないのは、壊れたボディを見て勝手に、
「これじゃぁ、とても修理できない。間違いなく全損だ!」
と決めつけてしまうこと。
クルマというのは、ドライバーが考える以上に修理ができるものですから、
勝手な判断を下す前に、必ず修理業者にみてもらいましょう。
【コラム】「しらなかった」では済まない自動車保険について
車両保険のかけ方で保険料はこんなに違う③
それぞれの車両保険の補償範囲を比較すると、駐車場での当て逃げや、
自分でガードレールに突っ込むなどの単独事故でも、車両保険がつかえるようにしたいのなら、
「一般車両」で契約します。
保険料は高くなりますが、これで契約しておけば、とりあえずすべての車両損害に備えることが可能です。
(戦争や核爆発などは除きます)。
一方、一般車両のワンランク下、「エコノミー+A特約車両保険」は、自損事故、当て逃げは対象外で、
その他の損害はカバーしてくれます。
それぞれの条件で見積もりをとって、保険料にどれくらい差が出るか、比較してみてください。
その場合、免責額も何パターンか変えてみると、選びやすいのではないでしょうか。
もちろん、クルマのキズが気になる新車時には「一般車両」で、翌年からは「エコノミー」
に変えることも可能です。それぞれの条件をチェックしたうえで、
いろいろ検討してみてください。
【コラム】「しらなかった」では済まない自動車保険について
車両保険のかけ方で保険料はこんなに違う②
車両保険には次のような種類があります。
①一般車両保険
②エコノミー+A特約車両保険
③エコノミー車両保険
④A特約車両保険
そして、それぞれにカバーできる範囲が異なり、
保険料も大きく変わってきます。
ちなみに「エコノミー」とは、日本語で「節約」の意味。
ですから、一般車両よりエコノミーの方が安い、と覚えておけばよいでしょう。
【コラム】「しらなかった」では済まない自動車保険について
車両保険のかけ方で保険料はこんなに違う①
車両保険とは契約している自分のクルマが、偶然の事故によって損害を受けた場合に、
修理代金などが支払われる保険です。
保険金額は、その時のクルマの年式や型式に応じた「時価」で決められ、
保険料もその金額によって変わります。
つまり、10年前に200万円で買った乗用車に、今年200万円の車両保険を付けたいといっても
まずそれは無理。現在のそのクルマの時価はせいぜい10~20万円程度なので、
保険会社ではそれに応じて保険金額を設定し、保険料を算出します。
もちろん、時価が高ければ高いほど保険料も高くなります。
反対に、1000万円の高級車に500万円だけ車両保険を付けるということも、
基本的に無理なのですが、最近では条件付きでそうした特例を認める保険会社も
出始めているので、その都度確認してください。
【コラム】「しらなかった」では済まない自動車保険について
保険料を安くする条件&テクニック⑦
〇免許や使用条件もチェック
ゴールド免許、使用目的などの条件によって保険料を割り引いている保険会社もあります。
また、保険料の支払い方法も一括と分割では一括の方がお得です。
最近では、積み立てタイプなども登場したので、インターネットなども活用して最新情報を
調べてみるとよいでしょう。
【コラム】「しらなかった」では済まない自動車保険について
保険料を安くする条件&テクニック⑥
〇2台目以降のクルマは契約時に必ず申告
今や一家に1台は当たり前、最近では一人に1台というスタイルも珍しくなくなってきましたが、
そんな時代の流れを反映して導入されたのが、複数所有自動車割引です。
多くの会社は、1台目の保険契約が5年以上無事故(11等級以上)の優良な契約者に限って、
2台目、3台目・・・の初年度の契約を割り引きましょうという特約を設けています。
2台目以降の保険を契約する際に、1台目の保険総研、車検証などを代理店に
確認してもらうだけでOK。
1台目と保険会社が違っていても問題はありません。
また、保険の契約者とクルマの所有者は、基本的に1台目も2台目も同じ人、
尚且つ個人でなければいけませんが、会社によっては同居の親族なら割り引いてくれる場合もあるので、
事前に確認してください。
複数所有割引を知らずに、損をしている人は意外に多いようですので、
2台目以降の保険契約をするときは、要チェックです。
【コラム】「しらなかった」では済まない自動車保険について
保険料を安くする条件&テクニック⑤
〇ABS付きや衝突安全ボディも要チェック
ABSとは、「アンチロックブレーキシステム」を略したもので、
電子制御によってタイヤのロックを防ぐ、安全なブレーキの仕組みです。
ABSの安全性を確認した保険業界は、ABS装着車の保険料を思い切って
割り引くことにしました。
自分のクルマがABS装着車なのかどうか、見積もりの前に確認しておくことをお勧めします。
また、最近は「衝突安全ボディ」をうたっている車も増えてきました。
このような車も割引の対象となります。
こうした安全装置を充実させている車は、当然のことながら車両価格は高くなるものですが、
逆に保険料が安くなることも見逃せません。
長期に渡ってみれば、安全で保険料が安いというメリットを重視するべきかもしれません。
【コラム】「しらなかった」では済まない自動車保険について
保険料を安くする条件&テクニック④
〇エアバック付きは搭乗者保険が割安に
あなたのクルマにエアバックがついていたら、契約や見積もり時に必ずそのことも申告してください。
エアバック装備自動車割引の対象となり、搭乗者傷害保険の10%を割り引いてくれます。
なかには、「デュアルエアバック割引」を導入している会社もありますので、
助手席にもエアバックがついているクルマは、更に保険料が安くなる可能性があります。
【コラム】「しらなかった」では済まない自動車保険について
保険料を安くする条件&テクニック③
〇家族しか乗らないのなら「家族限定特約」
「うちの車は、家族しかハンドルを握りません」
「僕の車は、絶対に僕しか運転しません」
そう言い切れる個人やファミリーには、運転者家族限定特約がお勧めです。
この特約を付けるだけで保険料が5%安くなるので、契約の時には必ず申告してください。
(割引率は会社によって異なる場合もあります)
対象となるクルマは、自家用車の普通乗用車、小型乗用車、軽4輪乗車の3車種。
家族とみなされる運転者は、記名被保険者(契約書)と配偶者、同居の親族、
別居の未婚の子です。
【コラム】「しらなかった」では済まない自動車保険について
保険料を安くする条件&テクニック②
〇車種や排気量によって保険料に大きな差が
任意保険は、そのクルマの用途・車種ごとに基本の保険料が異なります。
同じ自家用乗用車でも、排気量によってA、B、Cという3つのクラスに分かれていたり、
また車両保険の料率も、車種とそのグレードによって細かくクラスが分かれているため、
事故率の高い車種は保険料も高くなっています。
若者が好みそうなスポーツカーなどは、やはり車両保険は高いようです。
つまり、まったく同じ条件で保険を契約しても、
クルマによって保険料にはかなりの開きが生じるというわけです。
「車はなんでもいいけど、保険料は少しでも安くしたい」という人は、
クルマを購入する前から、保険料の見積もりを取ってみることをお勧めします。
【コラム】「しらなかった」では済まない自動車保険について
保険料を安くする条件&テクニック①
〇年齢は高い方がお得
契約1年目は大抵6等級からスタートするのですが、同じ6等級でも、年齢条件に応じて
割引率が異なります。
たとえば、何歳の人が運転しても保険の対象となる「年齢を問わず担保」は、
6等級でも30%割り増しからのスタートとなりますが、
26歳以上の人のみを対象にした「26歳未満不担保」という条件にすると、
割増はなく、0%で計算されるのです。
若年層は事故率が高いため、このくらいのペナルティは仕方がないのかもしれませんが、
運転者の年齢条件は高ければ高いほど、保険料も安くなるといえるでしょう。
【コラム】「しらなかった」では済まない自動車保険について
任意保険は無事故を続けると安くなる②
等級については、事故を起こしたら必ず等級がダウンするというわけではありません。
等級ダウンは、あくまでも「保険を使った時」のみです。
例えば、ごく軽い事故で、損害額が2~3万円で済むような場合は、安易に保険を使わずに、
必ず保険会社に相談してください。
わずか2~3万円の保険を請求しただけで、来年の等級が3等級ダウンするより、
自腹を切ってでも翌年1等級アップさせておいた方がトクなケースはよくあります。
ちなみに3等級ダウンしてしまうと、元の等級に戻すだけでも最低3年かかります。
しかし無事故ならその間に何等級アップしますか?
また、その間に支払う保険料の差は、どのくらいになるでしょう?
そこをよく考えて保険請求をしなければ、大きな損をしてしまうことになるのです。
【コラム】「しらなかった」では済まない自動車保険について
任意保険は無事故を続けると安くなる①
「ノンフリート等級別料率」をみると、思わずテストの偏差値を連想してしまいますが、
例えるなら、割増・割引率0%の4等級が平均点。5等級以上は平均点以上の優等生で、
3等級以下は赤点の劣等生、という感じでしょうか。
つまり、任意保険の世界では、無事故を続ける優等生には1年で1等級ずつランクを上げて、
「保険料を安くする」というご褒美がついているのです。
逆に、事故で保険を使った場合は、1年で1等級ずつダウンするなどという生易しいものではありません。
なんと、保険を使う事故を1回起こすと、一気に3等級もダウンしてしまいます。
くれぐれも安全運転を心がけてください。
【コラム】「しらなかった」では済まない自動車保険について
任意保険は無事故を続けると安くなる
任意保険は自賠責保険と違って、「メリット・デメリット料率」という方式をとっており、
無事故を続ける優良ドライバーには毎年保険料をどんどん安くし、反対に事故を起こして
保険を使ったドライバーには、保険料を高くするというシステムを導入しています。
これを「ノンフリート等級別料率」と呼んでいます。
以前は基本的に1から16まであり、1年目は割引・割増なしの6等級からスタート。
数字が大きくなるにしたがって割引率がアップし、数字が小さくなるにつれて割増率がアップ、
つまり保険料が高くなるというのが一般的でしたが、自由化以降は20等級に分けている会社が
増えてきたようです。
【コラム】「しらなかった」では済まない自動車保険について
125㏄までのバイクに乗る人はファミリーバイク特約をつけて
ファミリーバイク特約は、PAP、SAPなどのセット保険に付けられる特約で、その内容は、
「同居の親族が125㏄までのバイクで対人事故及び対物事故を起こした場合、車にかけている
主契約と同じ条件で相手に賠償しましょう」というものです。
バイクは証券のうえで限定されないので、契約書とその家族が所有するバイクなら何台でも、
また他人から借りたバイクでも125㏄までならすべてが保険の対象となります。
但し、一点だけ気を付けておきたいのは、ファミリーバイク特約は搭乗者傷害保険が補償内容から
除外されていること。その他の補償内容は、車にかけている主契約とほとんど同じですが、
ファミリーバイクの搭乗者(運転者や同乗者)のケガについては補償されないのです。
それでも、原付バイクに1台ずつ個別に任意保険をかけた場合、保険料はファミリーバイク特約よりも
割高になります。車を持っていて125㏄以下のバイクに乗る機会のある人は、
やはり特約での加入が断然お得でしょう。
転倒による骨折や切り傷、といったバイクによくありがちなケガが心配だという人は、
自動車保険以外に傷害保険や生命保険にも加入しておくことをお勧めします。
【コラム】「しらなかった」では済まない自動車保険について
ペーパードライバーは「ドライバー保険」で備えておく③
ドライバー保険の保険料は、通常の自動車保険に比べればかなり安くなっています。
もちろん無事故を続ければ、自動車保険と同じく年々割引が増えて、保険料は安くなっていきます。
保険期間は1年のほか、短期でもOKです。長い休みを利用して友達のクルマでドライブに出かける時など、
保険の内容を必ず確認し、もし保険が効かないようなら、必ずドライバー保険をかけておくことです。
保険をかけないなら運転はしないことです。
多くの事故の中でも、他人のクルマやバイクを借りて起こしたという事故が少なくありません。
特に多いのは、まだ経済力の伴っていない免許取り立ての学生の事故です。
とにかく運転したくてたまらない時期なのはわかるのですが、借りたクルマの保険に
「運転者家族限定」や運転者の年齢より高い「年齢制限」がついている場合は、
保険金支払いの対象となりません。
そのため、結局自賠責保険しか使えないことになり、
被害者は泣くに泣けない状況に追い詰められてしまうのです。
【コラム】「しらなかった」では済まない自動車保険について
ペーパードライバーは「ドライバー保険」で備えておく②
ドライバー保険は、保険金支払いの対象となる車種は幅広く、自家用の乗用車・二輪自動車・原付、
そしてこれらすべてのレンタカーが含まれています。
つまり、この保険をかけておけば、他人のクルマやバイクを運転するときでも、
そのクルマの保険の条件などを気にせず、安心して運転することができるのです。
保険の種類は、「対人」「対物」「自損事故」「搭乗者傷害」の中から選択することができ
(自損、搭乗者のみでは引き受けてくれない)、保険金額もある程度
自由に設定することが可能です。
【コラム】「しらなかった」では済まない自動車保険について
ペーパードライバーは「ドライバー保険」で備えておく①
「免許はとったけど、自分のクルマは買えない・・・」
「友達のクルマやバイクを借りて乗ることがよくあるのだけれども」
そんな人たちにぜひおすすめしたいのが、「ドライバー保険」です。
これさえかけておけば、万が一の時も、一般的な自動車保険と同様の
安心を得ることができます。
正式には「自動車運転者損害賠償責任保険」という名前がついているのですが、
いわゆる「ペーパードライバー」が、他人のクルマを借りて事故を起こしたときに保険金が
支払われるものだと考えればよいでしょう。
契約は、ドライバーを1名限定して行います。(但し、仮免許の段階では契約は結べません)
【コラム】「しらなかった」では済まない自動車保険について
約款をよくみると、保険金が支払われない事故もある3
④戦争・外国の武力攻撃・革命内乱・武装反乱などによる損害も、基本的には支払いの対象外です。
アメリカで起こった同時多発テロは記憶に新しいですが、仮にその後に引き起こされた戦争で日本が
攻撃を受け、車が壊されたとしても、保険金は支払われないということになるわけです。
⑤その他、車に危険物を積んだり、危険物を牽引するとき、また、その車でラリーなどの競技に
出場する場合は、必ず事前に保険会社に申告して、契約内容を変更しなければいけません。
その手続きを怠って事故を起こした場合は、せっかく自動車保険をかけていても
契約内容の変更ができていないので支払いの対象外となります。
そのほかにも、細かな決まりがたくさんありますので、「これは?」と思った時は、
事前に確認しておきたいものです。
【コラム】「しらなかった」では済まない自動車保険について
約款をよくみると、保険金が支払われない事故もある2
②対人保険も、ドライバーの家族(父母、配偶者、子供)には支払われません。
たとえば、自分の家族を乗せてドライブ中に電柱に激突し、同乗していた家族が
ケガをしても対人保険は支払われません。
また、自分の家の壁に突っ込んでしまったり、車庫入れの時に隣に止めてあった
家族の車にぶつけてしまっても、対物保険は支払いの対象にはなりません。
(但し、家族といっても別居している兄弟姉妹の関係であれば、
支払の対象になります。)
③自然災害についても細かな規定が設けられています。
地震、噴火、津波など一度に想像を絶するような被害が予想される災害による事故は、
どの種目においても支払いの対象外です。
但し、台風、洪水、高潮の場合は、車両保険、搭乗者保険、自損事故保険のみ支払われます。
【コラム】「しらなかった」では済まない自動車保険について
約款をよくみると、保険金が支払われない事故もある1
「約款(やっかん)」とは、法令・条例・契約などに定められた契約の条項のこと。
いわば保険の様々な約束事が書かれているバイブルのようなものですが、いざ読もうと思っても、
虫眼鏡でもないと読めないような小さな文字がぎっしり・・・。
ここで「保険会社が保険金を支払わない」という主な項目を整理しておく必要があります。
①対人保険や対物保険のように、他人の身体や、モノを傷つけてしまった時に支払われる賠償保険では、
ドライバーが酒酔い、無免許、麻薬服用の状態で運転しているときの事故でも被害者保護のため
支払いの対象になりますが、それ以外の種目の保険はほとんどが支払いの対象外となります。
こうした悪質運転は、ドライバー自身の意識次第で防げることですので、絶対にやめましょう。
また、自殺や故意による事故も支払いの対象外となります。
【コラム】「しらなかった」では済まない自動車保険について
自動車保険は「セット加入」が主流④
BAPは「ベーシック・オートモービル・ポリシー」を略したものです。
BAPの「B」はベーシックの「B」、ベーシックとういだけあって、
全ての用途・車種の車が対象となりますが、
BAPには基本的に示談交渉サービスがついていませんので、
自家用車に乗っている方にとってはほとんどが無縁のはずです。
その他、各社が「人身傷害保険」という新商品をセットにした様々な商品を打ち出しています。
それぞれのセット商品を比較したうえで、検討すればよいでしょう。
【コラム】「しらなかった」では済まない自動車保険について
自動車保険は「セット加入」が主流③
PAPは「パッケージ・オートモービル・ポリシー」を略したものです。
PAPの「P」はパッケージの「P」、「詰め合わせ」という
意味になるでしょうか?
さてその詰め合わせの中身はというと、対人、対物、自損事故、無保険車傷害、搭乗者傷害となっていて、
希望によって車両保険もつけることができます。
対象となる車種は幅広く、バイクやトラック、ダンプ、レンタカーなども契約することができます。
SAPとの大きな違いは、対物事故の示談交渉サービスがついていないという事(実際には
動いていくれる保険会社が多いようです)、そして無保険車傷害保険のカバー範囲です。
PAPの場合は、契約しているクルマに乗っている人が対象ですが、
SAPの無保険車傷害保険は、契約自動車に乗車中はもちろん、契約者とその家族が
自転車乗車中や歩行中でも対象となります。
【コラム】「しらなかった」では済まない自動車保険について
自動車保険は「セット加入」が主流②
まずSAP(エスエーピー)とは、「スペシャル・オートモービル・ポリシー」を略したもの。
SAPの「S」は、スペシャルの「S]、そう覚えておけば、この保険の特徴が
つかみやすいと思います。
スペシャルという名の通り、SAPには、対人・対物・自損事故・無保険車傷害・搭乗者傷害、
車両といった種目がはじめからセットされています。
また、万が一のとき、すべての事故において示談交渉を保険会社が代行するという
サービスもついています。
但し、SAPを契約できる車両はかなり限定されており、いわゆる自家用5車種
(自家用の普通乗用車、小型乗用車、軽4輪乗用車、小型貨物車、軽4輪貨物車)と
いわれている車だけが対象です。
【コラム】「しらなかった」では済まない自動車保険について
自動車保険は「セット加入」が主流①
任意保険を契約するときに必ず出てくるのが、「エスエーピー」とか「ピーエーピー」という言葉。
なんだかよくわからないけど、結局、何も質問しないまま、ただ代理店の人の話を聞いていると
いう人は少なくないのではないでしょうか?
自動車者保険が自由化される前は、「SAP」「PAP」「BAP」「ドライバー保険」、
大きく分けてこの4種類がありました。
自由化以降は、各社がそれぞれオリジナルの保険を販売し始めたので、一言では説明
できませんが、この4種類は現在でも自動車保険の主軸として販売されています。
【コラム】「しらなかった」では済まない自動車保険について
自賠責上限額でもこれだけではかなり不安が・・・③
保険会社のおすすめ通りに、任意保険の特約をどんどんつけていくと、
保険料もそれに伴ってぐんぐん上がっていくことを覚悟しなくてはいけません。
限られた予算内で任意保険を選ぶなら、自分のことより、まずは他人の為の
「賠償保険」を充実させることを念頭におくべきでしょう。
【コラム】「しらなかった」では済まない自動車保険について
自賠責上限額でもこれだけではかなり不安が・・・②
自賠責はあくまでも「人」に対する保険なので、クルマやモノを壊してしまった場合は、
支払の対象となりません。
高級外車やバス、信号機や店舗などにぶつかってン千万円を超える請求がきたら、
貴方はいったいどうしますか?
そんなとき自賠責の不足分をカバーしてくれるのが任意保険です。
その名の通り、加入するもしないもドライバーの任意(自由)ですが、
現実には多くのひとが「自賠責の上乗せ」として、任意保険にも加入している理由はそこにあるのです。
具体的には、対人保険と対物保険という種目が、被害者への「賠償保険」にあたります。
ですから、自動車保険を掛けるときは、まずこの2種目を最優先で充実させることを念頭に置くべきでしょう。
一方、搭乗者保険や人身傷害保険などは、賠償保険ではなく「傷害保険」です。
これはドライバー本人や搭乗者が死傷したときに支払われる保険です。
その他、自分の車の修理代をカバーする「車両保険」、車の中に積んでいた自分の持ち物を補償する
「身の回り品担保特約」等がありますが、これらはあくまでも自分のモノに
万が一のことがあった場合におりる補償です。
【コラム】「しらなかった」では済まない自動車保険について
自賠責上限額でもこれだけではかなり不安が・・・①
自賠責から支払われる保険金額の上限が、死亡・重度後遺障害で4000万円、
傷害で120万円であることは、前にも説明したとおりです。
ところが、最近の支払い事例や判例を見てみると、交通事故の被害者や遺族に対して、
自賠責限度額を超える高額な損害額が次々と認められています。
重傷事故などの場合は、たった1日の治療費だけで限度額の120万円を超えてしまうことも珍しくありません。
更に、被害者が死亡したり重度後遺障害が残るような重大事故の場合、裁判では1億円を超えるような
高額の賠償額も次々と認められているのです。
そうなったら、残りの7000万円を、あなたは自分で支払うことができるのでしょうか?
【コラム】「しらなかった」では済まない自動車保険について
自賠責は「他人」に対する保険②
自賠責保険のことを定めた自賠法(自動車損害賠償保障法)という法律では、「自賠責保険は被保険者以外の
他人に対して支払う保険である」と明確に規定しています。
「被保険者」とは「自己のために自動車を運行の用に供する者(運行供用者)のことをさすのですが、
わかりやすく言えば、クルマの所有者や運転者、またその車を使っている運送会社などのことです。
例えば、荷物を輸送中のトラックが事故を起こして、運転手の同僚が隣の助手席で怪我をした場合、
そのトラックの自賠責は、隣に乗っていた同僚には支払われないということになるわけです。
以前問題になったのが、事故車に同乗していた家族がケガを負ったケースです。
夫がハンドルを握っていて事故が起き、助手席の妻が怪我をした場合、
夫が掛けている自賠責から保険金が支払われるかどうかという事が問題になったのですが、
結果的に最高裁判決で、「夫と妻は自賠責の支払いにおいては他人である」という判決が下されたため、
それ以降は同乗の家族にも自賠責保険金が支払われるようになったそうです。
【コラム】「しらなかった」では済まない自動車保険について
自賠責は「他人」に対する保険①
自賠責保険から被害者に支払われる賠償金の限度額は、1事故1名につき、死亡3000万円、
重度の後遺症害4000万円、ケガ120万円と決められており、後遺障害が残った場合は、
その等級に応じて後遺障害保険金が支払われるという仕組みになっております。
1階の事故で複数の人が被害にあった場合でも、被害者の人数に制限はないので、
1人ひとりに限度額まで補償してくれます。
但し、支払いの対象になるのは、あくまでも事故で被害を受けた「他人」です。
たとえその事故でドライバー自身が怪我をしたとしても、自分のクルマにかかっている
自賠責保険は使えません。
【コラム】「しらなかった」では済まない自動車保険について
「自賠責保険」は強制加入 かけ忘れは要注意
日本では、交通事故の被害者がせめて最低限の補償を受けられるよう、
公道を走るすべての車に「自賠責保険」(自動車損害賠償責任保険)の加入を義務付けています。
自家用乗用車の場合、新車購入時に払う保険料は、37,650円(次の車検までの3年間有効)です。
もちろん次の車検も、自賠責保険の証明書がなければ受けることができません。
いずれの場合も「諸経費」の中に合算されているので、多くのドライバーは無意識のうちに保険料を
払っていることが多いようです。
もし、自賠責なしの車を運転したら、6か月以下の懲役、もしくは5万円以下の罰金という厳しい
処罰が待っています。
車検のあるクルマの場合はまず大丈夫ですが、車検のない250cc以下のバイクや原付は要注意です。
保険の期限切れに気づかないまま走っている人がとても多いので、
気を付ける必要があります。
【コラム】「しらなかった」では済まない自動車保険について
自動車保険(任意)の加入率は意外に低い?④
現在、多くの車が任意保険に加入しているとはいえ、その普及率は用途や車種によっても
かなりバラツキがあり、100%とはほど遠いのが現実です。
任意保険の普及率をみると、対人保険の加入率は、自家用乗用車で78.9%なのに対し、軽四輪乗用車は
70.8%程度なのです。これでも高いとは言えないのに、二輪車になるとさらに低く、
32.6%という低さなのです。
実際に起こった交通事故を数多く調べると、任意保険をかけていない車が、
悪質極まりない事故を起こしてるケースが多くみられる、という傾向が見えてきます。
【コラム】「しらなかった」では済まない自動車保険について
自動車保険(任意)の加入率は意外に低い?③
日本の自動車保険は、現在「自賠責保険」と「任意保険」の2種類に分かれています。
まず、「強制保険」とも呼ばれている自賠責保険は、交通事故被害者の保護・救済を目的に、
国が設けた「対人保険制度」で、法律によって行動を走るすべての車に
加入が義務付けられています。
自賠責保険から支払われる保険金額の上限は、死亡・重度後遺障害ともに3000万円、
傷害で120万円となっていますが、これはあくまでも対人保険なので、モノやクルマを
壊しても、その被害は対象にはなりません。
一方、「任意保険」はその名の通り、加入は「任意」です。
しかし、現実には自賠責だけでは被害者に賠償しきれないケースも多いので、
その「上乗せ保険」として、多くのドライバーが加入しています。
自賠責と違って商品種目も幅広く、対人保険以外に、対物、搭乗者、車両など、
自分の希望に応じて選ぶことができます。
また、保険金額の設定も自由度があり、対人・対物保険は「無制限」という
かけ方も可能です。
【コラム】「しらなかった」では済まない自動車保険について
自動車保険(任意)の加入率は意外に低い?②
たとえば、車がつぶれたら修理代がかかりますし、人が怪我をしたら治療費がかかります。
また、万一、被害者が死亡するようなことになれば、すぐに葬儀の費用がかかりますし、
残された家族の舗装をしなければなりません。
つまり、交通事故の後には、例外なく「お金」の問題が発生するわけですが、
そういったリスク(危険)を前提に作られたのが自動車保険の制度なのです。
【コラム】「しらなかった」では済まない自動車保険について
自動車保険(任意)の加入率は意外に低い?①
交通事故に遭遇する確率は、かなり高いということは言えると思いますが、
どうやってその危険から自営すればよいのでしょうか?
ます、当たり前のことですが、安全運転を心がけて事故を起こさないこと。みんなが交通法規を
守っていれば、交通事故は起きないはずです。
それでも運悪く、事故の当事者になってしまったらどうするか?
そのあとの自衛手段は、今のところ「自動車保険」に加入しておくしか方法はありません。
交通事故が起こると、必ず金銭的な損害が発生します。
【コラム】交通事故の際の保険について7
5.過失割合等、自賠責の判断に疑問を感じたら
保険会社から通知された自賠責保険の支払額や過失割合、後遺症害の等級認定に
納得がいかない場合は、「異議申し立て」というかたちで、
再審査の依頼をすることができます。
それを知らずに、そのまま泣き寝入りをしたり、すぐに民事裁判を起こす人も多いようですが、
まずはこの方法をで、もう一度判断を仰いでみるべきでしょう。
申立書を受け取った保険会社は通常の請求書と同じ扱いで、
自賠責の調査を行っている自算会(自動車保険料率算定会)の調査事務所に調査を依頼るするわけです。
【コラム】交通事故の際の保険について6
4.自賠責保険の「重過失減額」ってなに?2
「過失割合」と「過失相殺」については、自賠責保険と任意保険では、
過失に応じた減額方法が大きくことなるので、注意が必要です。
任意保険の場合は被害者に70%の過失があれば70%を、80%の過失があれば80%をバッサリ差し引く
という考え方ですが、自賠責保険の場合は「被害者救済」という目的に沿って、
その割合がかなり緩やかになっているのです。
ちなみに、被害者側の過失が70%あっても、自賠責保険は減額せずに100%保険金を支払ってくれます。
また、90~99%の過失がある場合でも50%だけの減額で、残りは支払うことになっています。
また、後遺障害や死亡の原因が事故によるものかどうかははっきりしない場合は、
「因果関係が不明」という理由で、50%が減額されます。
【コラム】交通事故の際の保険について5
4.自賠責保険の「重過失減額」ってなに?
自賠責保険は、「交通事故の被害者救済」のためにつくられた保険です。
しかし、いくらケガをしたり死亡するという被害にあっても、その被害者本人に一方的な過失があった
場合、加害者は「無責」(責任がないということ)となり、支払いの対象になりません。
また、100対0とまではいかなくても、明らかに被害者側に重大な過失があると判断された場合は、
自賠責保険金が一部カットされて支払われます。
これを「重過失減額」といいます。
つまり、自賠責保険の支払いパターンは、「全額支払われるもの」
「減額して支払われるもの(重過失減額)」「全く支払われないもの(無責)」の3つに分けられます。
【コラム】交通事故の際の保険について4
3.目立つ事故後の損保会社とのトラブル
自賠責保険の限度額を超えることが予想される事故では、「一括払い」といって、
示談交渉は大抵加害者側の任意保険会社が行っています。つまり、加害者側の任意保険会社が、
自賠責保険の部分も含めて、過失割合を決め、支払い保険金額の計算を行って、
被害者に保険金を支払うというシステムです。
これがいわゆる「示談交渉サービス」というもの。自動車保険のパンフレットには、
必ずこの言葉が出てくるはずです。
例えば、A社で自賠責を、B社で任意保険をかけているドライバーが事故を起こし、
被害者の損害が自賠責の支払い限度額を超えそうな場合、
通常はB社が損害査定を行ったうえで被害者に保険金を支払い、
そのあとでA社から自賠責分を回収します。現在は、対人自己の約7割が、一括払いで処理されています。
当事者にとってはどこの保険会社がどう動いているのか、
わけがわからないまま話が進んでしまうことが多いようですが、被害者に面談したり、
電話をしてくる保険会社は、加害者側の任意保険会社であることがほとんどです。
【コラム】交通事故の際の保険について3
2.何のための保険? 損保会社の払いがシブいっていう噂は本当か?
せっかく完璧な自動車保険に加入しても、いざというとき支払われないとか、
またそれをきっかけに相手とトラブルになってしまうと、本当に困ってしまいます。
ある弁護士事務所では実際に扱った事故をピックアップして、
保険会社の初回提示額と、裁判等によって決着した最終解決額を比較しています。
これを見ると、保険会社が初めに被害者に提示した示談額がいかに低いかがわかります。
例えば、損保会社が「0円」と判断した死亡事故の損害額が、
裁判所の判断によって最終的に「4000万円」になったり、
「730万円」が「3000万円」になったりします。
また、当初「1700万円」しか払いませんと言われていた重度後遺障害事故が、
最終的に「1億3000万円」で解決しているのですから驚きです。
最もこのケースは、事故発生から解決までに8年間も裁判を行わなければならなかったとのことです。
実際に、保険会社は、裁判所の判断をはるかに下回る非常に低い基準で、
示談を迫ってきます。しかし被害者は裁判所基準のことなどしりませんから、
わけのわからないままハンコを押してしまい、そういうかたちで大量に交通事故が処理され、
まかり通っているのも実情です。
保険会社が初めに切り出してくる金額には、一度「?」を投げかけ、
その根拠をしっかり確認することが大切です。そしてももし納得できないのであれば、
すぐに返事をしないで、相手の言っていることが正しいかどうか、自分で調べてみることが大切です。
【コラム】交通事故の際の保険について2
1.過失割合と過失相殺ってなに?(つづき)
過失割合は、過去に起こった同じようなケースの事故の裁判例を参考にして決められます。
例えば、大きな書店の法律コーナーに行くと、「民事交通訴訟過失相殺率の認定基準」
といった本がありますので、保険会社に突き付けられた過失割合に納得できない人は、
自分でも判例を調べたうえで、交渉に臨めばよいでしょう。
さて、こうして決まった過失割合にしたがって、
それぞれの損害額を双方に負担させる方法を「過失相殺」といいます。
例えば、あなたが過失80%の事故で、あなたの車に100万円の修理代がかかってしまった場合、
相手の対物保険からは20万円支払われます。
逆に、相手の車の修理代も100万円かかる場合、
あなたの保険会社は相手に80万円の対物保険を支払わなければなりません。
この例でもわかるとおり、「過失相殺」とは、自分の損害額から自分の過失割合分を
「差し引く」ということなのです。
しかし、過失割合というのは、そんなに簡単に決められるものではありません。
多くの当事者は保険会社の提示する過失割合に納得できず、不満を感じているのが現状です。
【コラム】交通事故の際の保険について1
1.過失割合と過失相殺ってなに?
事故が起こると、まず最初に「8対2」とか「5対5」という言葉が登場します。
これは当事者同士の「過失割合」を表す言葉です。
保険の世界では、たとえ双方が無制限の保険に加入していたとしても、
「お互いにお互いの損害を100%支払いましょう」という処理はありえません。
過失割合に応じてお互いの損害を賠償しあうのです。そこで、ここでは
交通事故における「過失」の考え方と保険金の支払いについて簡単に説明します。
まず、交通事故には、
①自分の一方的な過失で発生するもの
②自分と相手、両方の過失で発生するもの
③相手の一方的過失で発生するもの
以上の3通りがあります。
①と③はどちらかに100%の過失があるという事ですが、
②の場合は、自己の過失がどちらにどれだけあったか検討されます。
その結果が「過失割合」なのです。
【コラム】交通事故の保険について9
どちらの補償をうけるべきか?
(1)優先関係はない
前述のように、労働者が通勤途中に交通事故にあった場合、
通勤災害として労災保険給付の対象になると同時に、交通事故として
加害者加入の保険会社に賠償請求することも可能です。
それではこのような場合に、労働者はどちらの保険から給付を受け取るべきでしょうか?
結論からいいますと、労働者はいずれの保険に対しても請求をおこなうことができます。
双方の保険は、制度運営主体が異なり両立するものですから、
「交通事故であり、加害者加入の保険会社に請求できるのだから、労災保険に対して
請求することはできない」とはならないのです。確かに労災保険からすれば
「加害者加入の保険会社に請求できるならば、そちらにしてほしい」と考えるかもしれませんが、
それは実際に労働者に保険給付を行った後に発生する求償の問題にすぎず、
給付を受ける労働者には関係しない事情です。
もっとも労災保険または任意保険から補償を受けた場合、相互間で受給調整がなされますから、
例えば労災保険から治療費の支払いを受けた場合、任意保険に対して再度治療費を請求することはできません。
要するに当たり前のことですが、「二重取りはできない」ということです。
(2)差が出るのはどのような場合か?
上記の様に労働者が通勤途中で交通事故にあった場合、労働者は労災保険または任意保険のいずれかに
請求を行うことができます。
しかし双方の保険で結論が変わってくることがあります。
①労災保険に慰謝料は含まれない
労働者が、通勤途中で交通事故に遭って怪我をして、治療の為に一定期間通院を強いられた場合、
加害者に対して通院期間に相当する慰謝料を請求することができます。
もっとも労災保険から支払われる補償の中には、精神的損害に対する賠償は含まれていません。
したがって、精神的損害に対する賠償を請求しようとすれば、治療費等を労災保険に請求していた場合でも、
別途任意保険に対して請求する必要があります。
②過失割合が影響してくる
労働者が交通事故に遭った場合、交通事故の具体的状況によって、
労働者と加害者の過失割合が問題となります。
仮に労働者と加害者の過失割合が10:0でない場合、治療費等を労災保険に対して請求するか、
任意保険に対して請求するかによって、結論が変わってくることがあります。
仮に交通事故の具体的状況から、過失割合が9:1であったとして、任意保険に対して治療費を請求する場合、
確かに支払い段階では、「過失割合が9:1だから、かかった治療費の9割のみ支払います」といった対応にはなりません。
しかし最終的に示談する場合、過失割合からして、任意保険が過剰に支払っていた1割分の治療費は、
慰謝料などの別の費目から差し引かれることになり、結果的に慰謝料金額が目減りすることになります。
これに対して、労災保険の場合、労災保険制度の制度趣旨が、労働災害により負傷した労働者の生活を
保障することにあるため、労働者の過失の有無は基本的に考慮されません。
したがって労災保険から治療費として支払われたものが、後日過失割合に従って他の支給項目から
差し引かれるなどはありませんが、労災保険は慰謝料の概念がありませんから
労働者が受け取れるお金はありません。
このように、労災保険と任意保険の双方から補償を受けられるような場合でも、
交通事故の具体的内容によっては、最終的に受け取れる金額に違いが生じることあり、
やはり、たとえ通勤途中であったとしても加害者側の任意保険を優先的に使うべきと思われます。
【コラム】交通事故の保険について8
補償内容に違いはあるのか?
(1)治療費
労働者が治療のために整形外科などに通う場合、治療費が発生しますが、
労災保険と任意保険のいずれを適用する場合であっても、
怪我の治療として必要かつ相当な範囲で治療費が支払われるので、
二つの保険に違いはないといえるでしょう。
(2)休業関係
労働者が怪我の影響で仕事を休まなければならなくなった時、いずれの保険を適用した場合でも
休業に対する賠償金が支払われ、損害の補填がなされます。
もっとも、実際に支払われる金額は、双方の保険で異なる点があります。
まず、労災保険では通勤災害の場合、休業給付として労働者について算定された平均賃金の
60%が支給され、さらに特別給付金として、平均賃金の20%が支払われます。
したがって、合計すると労働者の賃金の80%が支払われることになります。
一方で、任意保険では交通事故による怪我で就労できなくなってしまった場合、
休業損害が支払われます。
休業損害の具体的金額は、労災保険における休業給付とは異なり、
原則として減った分の収入の全額が支払われることになります。
そうすると、休業損害の関係では、任意保険から損害賠償を受けたほうが有利といえるでしょう。
【コラム】交通事故の保険について7
通勤災害に遭ったら労災と任意保険どちらの補償をうけるべき?
労働者が通勤途中に事故に遭い怪我をしてしまった時、治療費をはじめとして、
怪我をしたことにより仕事ができなくなってしまった場合の休業損害など、
受給できる補償がいくつか存在します。
では労働者は、具体的にこれらの補償をどこから受け取ることができるのでしょうか?
通勤災害で負傷した労働者に対する保険として、
次に挙げるものが適用される可能性があります。
(1)労災保険
労働者災害補償保険法では、通勤災害に該当する要件について、原則として移動経路を問題としており、
移動手段は問題としていません。
したがって、公共交通機関か自家用車であるかは関係なく、通勤途中で事故にあった場合には、
通勤災害として労災保険の適用をうけることができます。
労災保険が適用された場合、療養給付として治療費の支払いを受け取ることができます。
さらに、怪我により仕事を休まなければならなくなり、収入が減ってしまったときは、
休業給付および休業特別支援金を受け取ることができます。
(2)任意保険
通勤の途中で交通事故にあってしまったとき、本来は交通事故の加害者が被害者である労働者に対し
損害賠償責任を負いますが、大抵の場合、加害者が加入している保険会社が、
加害者に代わって損害賠償として治療費などを負担します。(一括対応といいます)
保険会社から被害者である労働者に支払われる賠償の内容としては、労災保険と同様に、
怪我をした際の治療費をはじめとして、怪我をしたことにより仕事を休んだ際の休業損害、
通院日数に応じた慰謝料などがあります。
(つまり、労災保険を使うよりも、慰謝料の分、貰える金額が大きくなります)
【コラム】交通事故の保険について6
(6)健康保険を使うべき場合
交通事故に遭った際は、相手の任意保険会社に治療費を払ってもらうのが通常です。
しかし、結論から言えば
①被害者にも大きな過失が認められ、
②治療費の総額の見込みが立ち、
③その治療費の負担(窓口支払が発生する)に耐えるだけの資力が被害者にある場合、
は健康保険から使うのが良い場合があります。
※当院に於きましては自賠責基準の方を優先しており、健康保険を使う方は予約不可等、デメリットの方が大きくなります。
(7)労災保険を使うべき場合
勤務中や通勤中の交通事故の場合は、勤務先の会社を通じて労災保険を申請して、
労災保険から治療費を受け取ることができます。
しかし仮に自身が通勤途中であったとしても、相手方の過失が大きいケースであくまで被害者側であった場合は、
加害者側加入の自賠責+任意保険で補償されるのが本来のお金の流れであり、
事務処理上もシンプル(会社を巻き込まず、加害者対被害者という考え方)であります。
(労災を使用すると個人の問題だけではなく会社を巻き込み、手続きが煩雑になることが考えられます)
※労災は「相手の過失」という発想がなく、賠償を負うべき加害者の責任が曖昧になり、
なおかつ賠償金は多くの労働者の積立金から支払われることになり、
一労働者としてそのようなお金の使われ方はあまり好ましく思えません。
責任を負うべき人間が、個人の責任(自賠責+任意保険)で賠償するのが本来の姿であります。
【コラム】交通事故の保険について5
(5)車両保険
ガードレールや電柱に衝突して、事故の車両の修理が必要になった時のような単独事故の場合、
加害者がいるわけではないので、対物賠償保険から修理費が出ることは想定できず、物損なので
人身傷害保険からも修理費用は出せません。
このような場合、車両保険に加入していれば、修理費用がでることとなります。
相手がある事故の場合、相手の任意保険の対物賠償責任保険をまず使うことになります。
事故の車両の修理代(損害額)が相手の対物賠償保険で全額まかなえる場合は、
自己の車両保険を使う必要がありせん。
しかし相手の対物賠償保険金では修理費用が不足する場合には、不足部分を自己の車両保険で支払うことになります。
車両保険を使うと、3等級さがるので、翌年からの保険料がかなり上がってしまうことが多いです。
そして、元の等級に戻るのに3年かかってしまいます。
したがって、修理代が少額で済む場合は、車両保険を使わずに自分で修理代を払った方が、
等級も維持されて保険料も変わらないので有利である場合もあるので、車両保険を使った場合に
上がる保険料と修理代を比較して、車両保険の利用の有無を慎重に検討するべきでしょう。
【コラム】交通事故の保険について5
(4)無保険車傷害保険
加害者量の運転者が任意の対人賠償保険に加入していない場合や、対人賠償保険に加入しているが
運転者年齢条件などの規定に沿っていないために保険金が支払われない場合には、被害者は加害者の
任意の対人賠償保険から保険金を受け取ることができず、自賠責保険から保険金をうけとることができるに
どどまります。
このように無保険車と事故にあったときに、被害者に自分が契約している対人賠償保険と同じ額の範囲内で、
加害者が負担するべき損害賠償の不足分を補償してもらえる任意保険が無保険車傷害保険です。
加害者が対人賠償保険に加入している場合でも、補償されるべき損害額より低い額の保険金しか出ないときも、
無保険車傷害保険から保険金がでます。
【コラム】交通事故の保険について4
(3)人身傷害保険
人身傷害保険は、自動車保険の一種で、交通事故被害者側が契約している場合に意味のある保険です。
被害者がこの保険に加入している場合、被害者自身の過失割合に関係なく、契約した限度額の範囲内で、
治療費や休業損害、慰謝料、逸失利益などを受け取ることができます。
しかも、治療費や休業損害などが発生する都度、受け取ることができます。
被保険者の家族が被害を受けた場合にも保険金を受け取ることが可能です。
もっとも、契約内容によっては、被害者が保険契約車両に搭乗中の事故のみが対象で、
歩行中など保険契約車両搭乗中以外の事故は対象外となっていることもあるので、
注意が必要です。
【コラム】交通事故の保険について3
(2)対物賠償保険
自賠責保険は、物損に対しての補償は一切ないので、仮に任意保険がないとしたら、
加害者が損害全額を払わなくてはならず、被害者としても加害者に資力がない場合には、
全額の賠償を受けることは現実には望めないこととなります。
このような事態を避けるべく、多くの自動車運転者が対物賠償保険にも加入しています。
対物賠償保険では、交通事故被害者が受けた物損はもちろん、
営業損失や休業補償も補填されます。
たとえば、店舗に自動車が突っ込み、修理が終わるまで営業ができない場合、
事故が無ければ営業で得られたはずの収益を営業損失として保険金の支払いを請求することができます。
また、タクシー運転手が加害車両に追突されて、タクシー車両の修理の為、
休業を余儀なくされた場合、事故が無ければ得られたはずの収益を休業損害として
保険金の支払いを請求することができます。
【コラム】交通事故の保険について2
②任意保険
任意保険は、自賠責保険とは違い、加入が強制されていません。
また、自賠責保険の補償対象が対人賠償のみであるのに対し、任意保険ではその契約内容により、
対物賠償や人身保障等、多様な補償を取り扱っています。
(1)対人賠償保険
対人賠償保険の保険金は、交通事故加害者の損害賠償の支出を保障するもので、
自賠責保険を補完するするものです。
自動車運転者は、自賠責保険のみだと、自賠責保険の保険金を超える部分の損害額を自身で
負担しなければならなくなります。
そこで、自動車運転者の多くは、自賠責保険の保険金を超える部分の損害に対する保険金を
出してくれる任意保険にも加入しています。
したがって、交通事故の被害者は、加害者が任意保険に加入している場合は、
自賠責保険基準よりも多額の賠償額を受け取れることが多いです。
しかし、任意保険を提供しているのは、民間の損害保険会社です。
利益追求のために、交通事故の被害者に対して払わなくてはならない保険金の額を
なるべく低くしようとしてきます。
保険会社によって多少違いますが、裁判で認められる損害額と比べると低額なことが多いです。
【コラム】交通事故の保険について1
①自賠責保険
(1)内容
自賠責保険とは、自動車、バイク(二輪自動車・原動機付自転車)を使用する場合に、
自動車損害賠償保障法により、すべての運転者が加入を義務付けられている損害保険(強制保険)です。
これは人的損害のみ適用されます。
自賠責保険は、最低限の損害賠償金を被害者が受け取れるようにすることを目的とする保険です。
自賠責保険の保険金だけで現実の損害賠償額をすべて補填することは困難です。
足りない分は任意保険で損害を補う事になります。
(2)保険金の請求手続き
自賠責保険の保険金は、加害者の損害賠償の支出を保障するものです。
ですから、加害者から請求するのが原則です。(加害者請求)
しかし、本来自賠責保険は被害者の保護のためにあるものです。したがって
被害者側からの請求も認められています。(被害者請求)
更に、被害者が事故によって困窮しないように配慮されています。
示談が成立して保険金が出るまでの制度として仮渡金があります。
すなわち、運転者の損害賠償額が確定しない段階でも、賠償額の一部を仮渡金として保険会社に
請求することができます。もっとも、仮渡金は保険金支払いの一部前渡に当たります。
後日正式に支払われる保険金は「保険金の決定額から、既に支払いを受けた仮渡金を控除した額」となります。
【コラム】交通事故について32
示談内容が間違えていたり、不当な内容が書かれていると、あとから問題が起きるかもしれません。
交渉内容がしっかりと反映された内容になっているのか、必ず確認しましょう。
その際のチェックポイントは以下の通りです。
・交通事故が特定されているか
・事故の日付や場所、当事者名などの記載があるか
・過失割合が正しく書かれているか
・加害者と被害者それぞれの交通事故への責任の割合が妥当か
・示談金が妥当な金額か
・治療費、休業損害、慰謝料など、各項目について話し合いの内容が反映されているか
・後遺障害等級について書かれているか
・何級を前提とした示談内容になっているか
・交渉がうまくい追っても、示談書の内容を確認しないまま合意してしまうと、
大きな不利益を被る結果になることもあります。
最後までしっかりと確認をしてから示談書を交わすようにしましょう。
【コラム】交通事故について31
示談を相手任せにしたり、焦ったりすると不利な結果となる場合があります
相手方保険会社は事故対応のプロです。専門的な知識でスムーズに事件を終息に導いてくれるでしょう。
しかしそれは被害者である貴方のためのアドバイスとは限りません。
例えば、相手方保険会社は、保険金をできるだけ少額で済ませたいので、「早い解決を」と、
早期の治療打ち切りを勧めます。
治療期間が短ければ、治療費、通院交通費、入院慰謝料、休業損害の費用を抑えることができます。
更に、後遺障害の等級にも認定されにくく、後遺障害に関する損害項目もなくなれば、
相手方保険会社としては一石二鳥です。
早く解決したい、と相手方保険会社の提案に安易に乗ってしまうと、本来の額に全く見合わない
賠償額になる可能性があります。
判断に困るようであれば、相手方保険会社ではなく、あなたの味方になってくれる
専門家に相談しましょう。
損害賠償請求権には時効があります
時効のスタート地点は「損害及び加害者を知った時」になります。
物損事故は、事故発生翌日から3年ですが、人身事故の場合はもう少し複雑です。
後遺症が無ければ、事故発生翌日から5年になりますが、後遺症があれば、その点に関する請求については、
症状固定の翌日から5年になります。
また、死亡事故は、死亡翌日から5年になります。
ただし、加害者が分からなければ永遠に請求権が消えないわけではありません。
その場合には、事故翌日から20年経つと時効により請求権はなくなります。
【コラム】交通事故について30
示談交渉は「人身事故」で行いましょう
交通事故が「物損事故」でしょりされると、実況見分を行わないので、
過失割合に争いがある場合、事故状況についての証拠が得られず、主張立証が難しくなります。
また、怪我であっても非常に軽いケガと判断され、十分な治療費や慰謝料を受け取れない可能性もあります。
この場合、病院で診断書を書いてもらい、事故直轄の警察署へ提出して人身事故への切り替え手続きを行うか、
保険会社へ人身事故証明書入手不能理由書を提出し、怪我に対する損害についても
請求できるようにしましょう。
示談してしまうと撤回できません
示談成立後に、やっぱり納得できないのでやり直したいと思っても、
示談成立は法的拘束力をもつもので、撤回できません。
例外的に、示談当時には予測できなかった後遺症が発生し、
別途損害賠償を求めることを認めた裁判例もありますが、まれなケースと言えます。
また、錯誤や詐欺を理由とした取り消しも考えられますが、立証は難しく、
主張を通すのは困難です。
示談は成立したら撤回できないのが原則であり、やり直しはかなり厳しいと考えましょう。
【コラム】交通事故について29
示談交渉が進まない場合の対処法
示談交渉が進まない典型例は、相手保険会社がなかなか回答しない、示談の提示内容があまりにも低額、
損害をみとめてくれない、といったパターンでしょう。
連絡の要求や、増額請求をすることはもちろんですが、保険会社は「精一杯の譲歩」、
「限界まで出している金額」ととりあってくれないこともあります。
この場合の解決方法としては弁護士への依頼があります。
ご自身の仕事中にも弁護士が保険会社と交渉を進めてくれますし、
請求額の算定に弁護士基準を使うので、個人の増額交渉よりも良い結果になる可能性は高いでしょう。
他にも、加害者が任意保険に未加入で、交渉相手が加害者本人となってしまい、
示談交渉が進まないケースもあります。
加害者が無保険ということは、任意保険に未加入であるという事、もしくは強制加入である自賠責保険にも
未加入である場合をさします。
では無保険である相手方に対し、示談交渉はどのように行うのでしょうか?
まず、任意保険会社に入っていない場合、自賠責保険へ被害者請求することで、最低限の補償を受けることができます。
しかし、加害者が自賠責保険にも入っていなければ、自賠責保険からの補償は受けられません。
その場合はには、「政府保証事業」を活用することで自賠責保険とほぼ同じ程度の金額を受けるとることができます。
しかしいずれの場合も、その限度額を上回れば加害者本人へ請求しなければなりません。
しかし個人間のでの示談交渉は、連絡がとれなかったり、示談が成立しても資金力がなく、
示談額を支払ってもらえない等、トラブルがはっせいしています。
法的対応も考えておく必要があるでしょう。
【コラム】交通事故について28
示談交渉は裁判ではなく、お互いの話し合いで可決する方法です。
示談までに必要な期間は、事故の内容や相手方との連絡の頻度や、回答の早さなど様々な要素にさゆうされるので、
ケースバイケースになります。
但し、物損(車両の損傷)に関する示談は、主張の食い違いが発生しにくいのでおおよそ2か月程度で解決に至る
ケースが多いようです。
対して人身事故や死亡事故では、算定する基準が複数あり、検討する損害項目が多数あるなど、
主張がずれるポイントが多く、合意に至るまでの時間がかかりやすくなっています。
相手方より提示された内容が最初から納得いくものであった、ということであれば物損事故と同程度の期間で
まとまりますが、主張が対立した場合には半年以上、更には裁判にまで発展するケースもあります。
【コラム】交通事故について27
交通事故発生から示談成立まで、大まかに5つのステージに分けることができます。
第1ステージ:事故の発生
交通事故に遭うと慌ててしまいますが、まずは落ち着いて警察に連絡しましょう。
第2ステージ:物損に関する協議及び示談
過失割合や車両修理費用などの物損に関する点について、多くの場合、
人身部分より先に話し合いがされます。
第3ステージ:通院~感知(症状固定)
事故直後に痛みがなくても、すぐに病院で検査を受けてください。
交通事故による怪我は数日たってから症状が出てくることがあります。
事故との因果関係がないと判断されると治療費などの請求ができなくなるケースがあるので、
事故直後の受診が大切です。
第4ステージ:後遺障害等級の認定申請
医師から完治ではなく症状固定と診断されたら、後遺障害等級の認定申請の手続きをしましょう。
等級に該当する症状であれば、請求できる損害項目が増えることになります。
第5ステージ:示談高所うの開始から合意の成立
まずは事故への責任の程度を示す、過失割合を決めることから始めます。
その後、請求する損害項目を決定し、その被害額を算出します。
損害賠償額=慰謝料等含めた被害総額×(1-過失割合)というイメージです。
合意に至った内容を基に示談書を作成し、お互いに署名捺印すれば、示談交渉の終了となります。
【コラム】交通事故について26
交通事故の示談とは
交渉の流れや成立前に注意すべきこと
示談とは、裁判ではなく、当事者間の話し合いによって合意する解決方法をいいます。
示談では、被害者と加害者それぞれの事故の責任の程度である、過失割合を決めたり、
治療費、慰謝料を含めた損害賠償額を確定させます。示談が成立すると、その合意内容を後から
撤回することはほぼ不可能です。なぜなら示談成立=その内容に法的拘束力が発生するということに
なるからです。
示談内容に不明点や納得がいかないのであれば、安易に合意してはいけません。
必ず内容の見直しを行いましょう。
示談金に含まれているもの
示談金に含まれる損害の項目は、非常に種類が多いので、一般的な項目をご紹介します。
人身事故の実損部分としては、治療費、通院交通費、休業損害などがあります。
また、精神的な苦痛に対する慰謝料として、入通院慰謝料や、重い後遺症が残った場合の
後遺障害慰謝料、被害者が死亡した場合の死亡慰謝料があります。
さらに事故が無ければ本来得られた将来的収入にあたる逸失利益も、後遺障害や死亡事故の場合には
請求できます。車両被害があれば、その修理費も示談金に含まれます。
交通事故の示談金に相場はある?
示談金総額の相場は、各事故の事案の重さや個別事情によって異なるため、目安を設けることはできません。
しかし、先にご紹介したような損害項目であれば、ある程度の相場を算定することはできます。
相場の計算については、3つの基準があり、自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準があります。
この中で、最も高額なのは、裁判の算定にも使われる弁護士基準です。
むろん、相手方保険会社は任意保険基準で主張してきますが、その金額が適正であるかどうかは
専門家に確認してみるのが良いでしょう。
【コラム】交通事故について25
交通事故にあったらまずどうする?
あなたが交通事故にあったとき、どうすればいいのか?
交通事故証明書
交通事故にあったことを公的機関に唯一証明する書面に、自動車安全運転センターの発行する
「交通事故証明書」があります。
交通事故に関する様々な手続きにおいて、交通事故にあったことを証明できるので、交付を受けましょう。
また、人身事故の場合、事故発生から5年が経過すると、原則として交通事故証明書は交付されません。
交通事故直後には必要が生じなくても、何年か経った後に様々な支援を受けるための申請に必要になることもありますので、
特に死亡、重傷事故においては、証明書を取得しておくことをお勧めします。
なお、警察に届出をしていない事故については証明書が交付されないため、警察へ必ず届出をしてください。
※申請方法
自動車安全センター事務所のほか、警察署、交番、駐在所、損害保険会社(共済組合)などで、申請書をもらい、
必要事項を記入の上、申請書を提出します。
申し込み方法は、郵送、窓口、インターネットによる方法があります。
【コラム】交通事故について24
交通事故にあったらまずどうする?
あなたが交通事故にあったとき、どうすればいいのか?
事故直後の確認事項
3.目撃者を確保
第三者の意見は万が一、相手方とのトラブルになった際などに効果があるため、
通行人など交通事故の目撃者がいれば、その証言ををメモしましょう。
また、氏名や連絡先を聞いておき、必要ならば証人になってもらうよう、依頼しておきましょう。
4.自分でも記録
記憶は薄れることがあるため、できるなら事故直後の記憶が鮮明なうちに、現場の見取り図や事故の経過、
写真などの記録を残しておくことも重要です。記録は賠償交渉終了時まで残しておけば安心でしょう。
5.医師の診断
その場では軽症だと思っても、あとで意外と怪我が重かったという例もあります。
速やかに医師の診断を受けましょう。
【コラム】交通事故について23
交通事故にあったらまずどうする?
あなたが交通事故にあったとき、どうすればいいのか?
突発的なアクシデントに混乱するとは思いますが、まずは落ち着いて行動することが大切です。
加害者や事故状況の確認、医師の診断は何よりも優先してください。
事故直後の確認事項
警察への届け出や加害者の情報収集、そして証人の確保など、さまざまな証拠を集めておくことが大切です。
1.警察へ届ける
加害者からの報告は義務ですが、被害者が届け出ることも必要です。
(特に怪我を負った場合は「人身扱い」の届け出が重要です)
また、仮渡金の請求などで必要となるので、早めに自動車安全運転センターから、
交通事故証明書の交付を受けましょう。
2.相手を確認
被害者の確認事項として、以下の項目が必要です。
・加害者の住所、氏名、連絡先
・加害者が加入している自賠責保険、自動車保険の会社、証明書番号など
・加害車両の登録ナンバー
・勤務先と雇用主の住所、氏名、連絡先
(業務中に従業員が事故を起こせば、運転者だけでなく雇用主も賠償責任を負うことがあります。)
【コラム】交通事故について22
過失割合に不満がある場合の対処法
裁判②
裁判は、示談交渉やADRなどに比べて解決までに相当長い期間がかかることと裁判費用がかかることも
覚悟しておく必要があるでしょう。
交通事故の被害者の方だけでも訴えを提起して裁判をはじめることはできますが、
裁判では証拠を十分に揃えて立証していく必要があります。
法律の知識がないと法廷で有利に進めていくのはむずかしいと言えます。
証拠が不十分な状態で裁判を進めても、敗訴してしまうリスクがあることを留意しておかねばなりません。
裁判になると保険会社も弁護士を立ててくることになるので、味方になってくれる弁護士が
ついていないと不利になってしまうと言わざるを得ません。
【コラム】交通事故について21
過失割合に不満がある場合の対処法
調停
調停とは裁判所の調停委員が事故の当事者双方の話を聞き、和解をまとめる手伝いをしてくれるものです。
交通事故の被害者ご本人が調停の申し立てをすることも簡単です。
当事者双方の都合に合わせて約1~2か月に1回のペースで調停期日が行われ、
問題が解決するまで続きます。
お互いに合意すれば調停成立、合意できなければ調停不成立として手続きが終わります。
もっとも、合意できる見込みがなくなると調停委員会が不成立の判断を出す場合もあります。
調停委員会は中立的な立場をとるため、絶対に被害者の味方になってくれると期待しない方がよいでしょう。
調停の手続きを弁護士に任せることもできるので、調停に関して疑問がある方は弁護士に
アドバイスをもらうことをお勧めします。
裁判①
裁判とは法廷で交通事故の損害賠償問題を争い、裁判所によって法的な判断が出される手続きです。
裁判に勝訴した場合、相手の合意がなくても裁判所の判断によって紛争が解決されます。
交通事故の裁判は、裁判所に訴状を提出してから1~2か月後に第1回目の期日が行われ、
そのあとは月1回ほどのペースで期日が続いていくことになり、
裁判所が最終的な判断として判決を出します。
【コラム】交通事故について⑳
過失割合に不満がある場合の対処法
弁護士を味方につける
過失割合に不満がある場合の一つ目の対処法は、弁護士に依頼して
見方になってもらうことです。
保険会社との交通事故の示談交渉で不利にならないようにするためには、交通事故の専門知識が豊富な
保険会社の担当者と平等にやりあえるかどうかがポイントになってきます。
弁護士に示談交渉を依頼することで、ご自身では対応しきれない問題を解決してくれるでしょう。
ADRを利用する
過失割合に不満がある場合の二つ目の対処法として、ADRを利用する方法があります。
示談による話し合いで交通事故の損賠賠償問題が解決しない場合に利用することになるでしょう。
ADRとは裁判所以外の第三者が交通事故に関する法律相談や、示談交渉が決裂してしまったケースの
和解あっ旋手続きを当を行う機関です。
ADRを利用するメリットは、裁判よりも短い期間での解決が期待でき、
費用も無料で利用できることです。
交通事故の加害者側との示談交渉でまとまらなかったときには、被害者の方がご自身で利用できます。
ADRでは専門の相談員やセンターの弁護士が関与してあっ旋を勧めてくれますが、
あくまでも中立的な立場をとるので、絶対に被害者の味方になってくれると期待しない方がよいでしょう。
【コラム】交通事故について⑲
過失割合に関するよくあるQ&A
Q3.過失割合9対0のような片側賠償とは?
過失割合9対0や8対0にして、交通事故の損害賠償問題を解決する方法のことを片側賠償といいます。
片側賠償は、事故の当事者双方に過失があるものの、一方のみが損害賠償を行うことです。
示談交渉で当事者双方の主張がまとまらなかった時の折衷案として用いられる方法といえます。
片側賠償を認めると、加害者側に対して損害賠償金を支払う必要はありませんが、被害者が受け取れる金額が
減額されることは理解しておいてください。
Q4.過失割合でもめやすいのはどのようなケース?
交通事故の過失割合は、「交通事故の状況を示す証拠がないとき」、「損害賠償額が大きいとき」、
「事故の発生状況(駐車場内で起きた事故など)」によって、
特に相手と意見が食い違いやすいものです。
Q5.交通事故証明書には過失割合が載っていない?
交通事故証明書に、過失割合は記載されません。
交通事故証明書は、交通事故が発生したという事実が記された書類です。
事故の発生日時や発生場所、当事者の氏名や住所といった事故に関する基本的な情報のみが記載されます。
加害者が任意保険に加入している場合、保険会社が交通事故証明書を入手しているので、
ご自身で入手する必要は通常ないでしょう。
【コラム】交通事故について⑱
過失割合に関するよくあるQ&A
Q1.保険会社は過失割合を一方的に提示してくる?
加害者側の保険会社は「今回の事故では加害者60%、被害者40%の過失割合になります」等と、
過失割合を一方的に通知してくることも多いです。
もし、このようなケースで実際の適正な過失割合が加害者90%、被害者10%だとしたらどうなるでしょうか?
保険会社に言われるまま40%の過失をみとめてしまったら、本来なら10%分しか過失相殺されないところ、30%も余計に
自己負担しなければならなくなります。
間違った過失割合のまま合意してしまうと大損してしまう可能性があるので、
安易に合意しないようにしましょう。
正しい過失割合なのかどうか、弁護士や自分の加入している保険会社に相談して確認してください。
Q2.過失割合の決定に警察は関わる?
過失割合の決定に、警察は直接的に関わりません。過失割合は事故の当事者同士による話し合いで決めるものです。
最も、警察は過失割合の決定に影響する実況見分調書などの捜査資料を作成します。この点においては、過失割合の決定に
警察が間接的に関与すると言えるでしょう。
【コラム】交通事故について⑰
過失割合の決定に際しておさえておきたい示談交渉のコツ
保険会社が損害賠償額を少しでも低くしたい理由を知っておく
そもそも、保険会社が加害者側にとって有利になるような過失割合を主張してくるのはなぜなのでしょうか。
それは「保険会社は営利企業」であることを理解すれば、答えはおのずと見えてくるでしょう。
本来、保険は大勢の人がお金を出し合って財産を共有し、万一の事態に備える仕組みとして誕生しました。
しかし、保険の仕組みを会社として運営するには慈善事業では成り立ちません。
保険会社は自動車保険等の商品を提供し、保険の加入者から保険料を得ることで収入を得ています。
その収入は、交通事故の被害者に対して保険会社が支払う損害賠償金としても使われるので、保険会社にとっては大きな支出となります。
したがって、保険会社が利益を上げるためには、少しでも損害賠償の金額を減らして支出を抑えることが企業として求められます。
営利企業である保険会社は、自社の売上を最大化することが目的なのは当然のことです。
保険会社が損害賠償金という支出を減らす方法は、「慰謝料や損害賠償金の金額自体が低くなるよう交渉すること」と「過失相殺によって損害賠償金が少しでも多く減額されるよう、
被害者側の過失割合を多くすること」の2つです。
よって保険会社は少しでも被害者側の過失割合を多くしようとしてくるのです。
とはいえ、交通事故の被害者の方が受け取れるはずの金額よりも大幅に低い金額でしか請求できないわけではありません。
被害者の方はご自身が受けた被害に対して、最大限の補償が受けられるように主張していく権利があります。
【コラム】交通事故について⑯
過失割合の決定に際しておさえておきたい示談交渉のコツ
たとえ公平な過失割合だと言われても鵜呑みは危険
交通事故の被害者は、事故にはじめて遭うという方がほとんどでしょうし、
これからどう対応していけばいいのか不安で、何もわからないのではないでしょうか。
このように、交通事故の専門知識がなければ、
本来認定されるべき基準とかけ離れた不当な過失割りたいだったとしても、
そのおかしさにさえ気づけない可能性があります。
自身にも過失が少しあると自覚されているような方は負い目を感じて、
過失割合に不満があっても強く言い出せないことがあるようです。
もし保険会社が主張する過失割合が適正な過失割合でなかったとしたら、本来得られるはずだった損害賠償額よりも
低い金額になってしまう可能性が高まります。
保険会社は保険会社が有利となるような過失割合を主張してくることがしばしば見られます。
被害者に寄り添って、被疑者に有利になうりょうな過失割合を加害者側保険会社が親切に提示してくれるとは思わない方が良いでしょう。
【コラム】交通事故について⑮
過失割合の決定に際しておさえておきたい示談交渉のコツ
保険会社の主張する過失割合が正しくない可能性を疑う
過失割合は本来、過去の判例に基づいて決められていくべきものです。保険会社が主張する過失割合が過去の判例にきちんと基づいているのであれば、特に問題はないでしょう。
しかし保険会社が主張する過失割合が必ずしも過去の判例の基準に従って決められているわけではない点に注意しておく必要があります。
過失割合の算定においては、過去の判例を読み解き適切に解釈することが必要です。また、交通事故の状況によっては、過去の判例に当てはまらない特殊な事故や複雑な事故もあります。
つまり、適切な過失割合の算定にはしっかりとした法的知識が必要なのです。
しかし、保険会社の担当者は法律の専門家ではありません。
交通事故の案件処理には慣れているかもしれませんが、法律の適切な解釈のもと事故個別の事情を反映した過失割合を算定しているとはいいがたいでしょう。
保険会社の担当者は、事故状況を単純にマニュアルに則って当てはめて過失割合を判断しているにすぎないこともあるのです。
一方、法律の専門知識を兼ね備えた弁護士であれば、法律の適切な解釈をもって事故個別の事情を反映した過失割合を算定し、主張していくことができます。
過失割合については相手方の主張を鵜呑みにするのではなく、一度弁護士に確認してもらうことが非常に大切です。
【コラム】交通事故について⑭
過失割合の決め方|誰がどのように決める?
(3)修正要素を加えて最終的な過失割合を決める(つづき)
修正要素は事故の時間や場所、事故当時者の車種や運転状況等があるのですが、一例を確認しておきましょう。
①夜間:日没時から日出時までの時間
②幹線道路:歩道等の区別があり道路幅が広く交通量が頻繁な道路
③住宅街・商店街:人の横断や通行が多い場所
④直前直後横断・佇立・後退:歩行者は車両等の直前直後で横断したり、特段の事情無く立ち止まったり後退したりしてはいけない
⑤急な飛び出し、ふらふら歩き:歩行者は車両等の進路の前に急に飛び出したり、予想外にふらふら歩いたりしてはいけない
⑥被害者の属性:児童(6歳以上13歳未満の者)・高齢者(概ね65歳以上の者)・幼児(6歳未満の者)・身体障害者(車いすの者、目が見えない者、耳が聞こえない者等)
⑦重過失:酒酔い運転・居眠り運転・無免許運転・速度違反・過労病気薬物
このように事故個別の状況に応じて、基本の過失割合から反映すべき修正要素があるか確認されます。
修正要素があれば基本の過失割合から「+10」「+20」「-5」といった具合に加法・減法が行われます。
【コラム】交通事故について⑬
過失割合の決め方|誰がどのように決める?
(2)過去の判例を参照して基本の過失割合を選定する
過失割合は話し合いで決められますが、根拠もなく単純に話し合って決めるのではありません。
過去の交通事故で審理された判例を基準として、その基準に実際の事故状況を照らし合わせて過失割合が決められます。
(3)修正要素を加えて最終的な過失割合を決める
事故類型ごとに定められた「基本の過失割合」を選定したら、事故個別の事情を反映するための「修正要素」を加えて最終的な過失割合が決まります。
事故類型ごとに基本の過失割合が定めているものの、同じような事故といっても全く同じ事故は存在しません。
一見同じような事故に見えても、事故の時間帯が夜間であったため周囲が暗く人の発見が遅れたことが原因だったり、交通量が多い事故なのに前方注視にかけていたことが原因だったり、事故の原因はさまざまです。
そこで、事故個別の事情を基本の過失割合に反映するために「修正要素」が用いられます。
【コラム】交通事故について⑫
過失割合の決め方|誰がどのように決める?
(1)保険会社が提示する過失割合は変更の余地がある
「保険会社が言うのだから間違いはないだろう」と過失割合に疑問を持つことなくそのまま話を進めてしまったり、過失割合に納得いっていなくてもどう主張したら過失割合が変更されるのかわからず
困っていたりするのではないでしょうか?
保険会社が被害者側の過失割合を多めに見積もって提示してくることはよくあります。
過失割合について疑問や不満があるのであれば、弁護士に一度相談するべきです。
保険会社からの通知は過失割合の最終的な決定ではないので、効果的に交渉すれば、正しい過失割合に変更できる可能性があります。
【コラム】交通事故について⑪
過失割合の決め方|誰がどのように決める?
損害賠償額に影響を与える過失割合は、どのように決定されるのか解説します。
加害者側の保険会社から提示された過失割合が正しいのか判断するためにも、過失割合の決め方を知っておくことは重要です。
(1)当事者同士で過失割合にかんして話し合う
過失割合は、事故の当事者同士の話し合いによって決められるのが通常です。当事者が立てた代理人(保険会社・弁護士当)同士が話し合うこともあるでしょう。
このように、賠償問題を話し合いで解決しようとする手続きのことを「示談」といいます。
加害者側の保険会社が過失割合や示談金を提示してくることで、示談が始まることが多いです。
示談が成立すると、後からやり直すことはできないので、過失割合など示談の内容に納得していない場合は安易に合意しないでください。
【コラム】交通事故について⑩
過失割合9対1・8対2の注意点
過失割合9対1は被害者に1割の過失、過失割合8対2は被害者に2割の過失がある事故のことです。
1割や2割程度の過失なら大した減額にならないようにも思えますが、損害額が大きければ1割や2割が与える影響も大きくなります。
示談交渉を通じて、過失割合9対1や8対2から10対0に変更できる可能性もありますが、過失割合を主張するには具体的な根拠を示さねばなりません。
根拠を示せる資料の収集や、その資料を使って法的に過失割合を主張していきたいなら、弁護士に相談してみましょう。
但し、そもそもの損害額が少ないような場合、弁護士に依頼することでかえって費用倒れになってしまう可能性も検討せねばなりません。費用倒れの可能性については、過失割合とあわせて弁護士に確認するようにしてください。
【コラム】交通事故について⑨
事故パターンと過失割合ごとの注意点
「歩行者と自動車」、「自動車と自動車」、「バイクと自動車」、「自転車と自動車」、「歩行者と自転車」の事故パターンが考えられます。
また過失割合が10対0、9対1、8対2などになる場合の注意点を解説します。
【過失割合10対0の注意点】
被害者に過失が全くない過失割合10対0の事故は、一般的に「もらい事故」と呼ぶことが多いです。
被害者の過失が全くないと損害賠償金は減額されないので、特に注意する点は無いように思います。
しかし、保険会社が提示してくる損害賠償金の金額そのものが低額である可能性が高いです。たとえ過失割合が10対0でも、提示された金額が正しいのか見極める必要があります。
また、過失割合10対0の場合、任意保険に加入していても保険会社による示談代行サービスが利用できないので、被害者おひとりで示談交渉を粉わなければなりません。損害賠償金の金額に納得いかなかったり、示談交渉の対応に不安がある場合は、弁護士に相談することも考えましょう。
【コラム】交通事故について⑧
過失相殺とは
交通事故で怪我等の損害を負った場合、治療費・入院雑費・休業損害・入通院慰謝料・後遺障害慰謝料・逸失利益・物損などを合計した損害賠償金を事故相手に請求可能です。
自分に過失が全くなければ(例えば赤信号で停車中等)、損害賠償金の全額を事故相手に請求できます。
一方、過失が少しでもあるのなら、損害賠償金の全額を請求できません。自分が負うべき過失割合に応じて過失相殺されてしまうからです。
過失割合は最終的に受け取る損害賠償の金額を大きく左右するものなので、過失割合の程度が大きくなればなるほど過失相殺される金額も大きくなり、得られる金額が少なくなります。
【コラム】交通事故について⑦
交通事故の過失割合とは?
交通事故の過失割合は、示談金の金額を大きく左右するものなので、示談交渉の際にもめやすいです。
そもそも、過失割合とはどういうものなのかといった基本的な内容から、どのように過失割合が示談金に影響するのか解説していきます。
交通事故の過失割合とは、事故の原因となった「被害者の過失(責任)」と「加害者の過失(責任)」を割合で表したものをいいます。
9対1、8対2。7対3のように表現されることからわかるように、事故過失を数値でわかりやすくあらわしたものが過失割合なのです。
過失割合は過去の判例を参照して、「基本の過失割合」を選定し、事故個別の要素を反映する「修正要素」を加えて修正しながら決定します。
過失割合が大きい方の当事者を事故の加害者、過失割合が小さい方の当事者を事故の被害者と呼ぶのが一般的です。
しかし、少しでも過失があると認められれば、たとえ被害者でも「過失相殺」という形で過失割合に応じた責任を負わなければれなりません。
【コラム】交通事故について⑥
ケガに対する慰謝料の金額は治療期間で決まる
交通事故による怪我を治療するために、入院や通院を行うと、入通院によって生じる精神的苦痛に対して入通院慰謝料を請求することが可能になります。
入通院慰謝料の金額は入通院の期間に応じて決まるので、治療期間が長引けば慰謝料の金額も上がっていくのが通常です。
【コラム】交通事故について⑤
転院するなら早めが良い?
転院する場合、出来るだけ早い段階の方が望ましいといえます。治療をはじめてしばらく時間がたってから転院したいと保険会社に言うと、
「今の段階になって転院が本当に必要なのか」と疑われてしまいかねません。
また、後遺症が残っと場合に必要になる後遺障害診断書の作成に影響がでる可能性がある、という点もおさえておきましょう。
交通事故の治療期間は何か月?むちうちならどうなる?
むちうちは、交通事故の衝撃で首がムチのようにしなるほど強い力が加わることで生じる首の捻挫です。首の痛みをはじめ、頭痛・めまい・不眠など多岐にわたる症状がみられうのがむちうちの特徴です。
交通事故で生じやすいむちうちのケースだと、一般的には1~3ヶ月程度の治療期間を要します。
【コラム】交通事故について④
相手方保険会社から治療費の打ち切りを打診されても延長可能
相手方の保険会社から治療費をたてかえてもらっていると、「これ以上治療をつづけても意味があまりないようなので、治療費の支払いを打ち切ります」などと打ち切りを打診されることがあります。
相手方の保険会社から打ち切りを打診されても、主治医に「症状固定」がいつになるかを確認し、まだ治療を受ける必要があることを、相手方の保険会社に伝えれば、打ち切りを伸ばせるケースがあります。
どうしても治療費支払の打ち切りを避けられなかった場合でも、症状固定に至るまで治療を続けて、跡から相手方の保険会社に治療費の請求をすることが可能です。
治療費の請求後、保険会社から素直に支払ってもらえない場合は、訴訟などで争っていくことになります。
病院を変更する際は保険会社に連絡する
行委の医師による治療を受けても、治療方針や治療内容に納得できず転院したいこともあるでしょう。また、事故直後に搬送された病院と自宅が遠くて通院しづらかったり、
別の病院の方がもっと専門的な治療や検査が受けられるといった理由で転院を希望される方も多いです。
結論から言うと、治療の途中でも病院を変更することは可能です。但し、相手方の保険会社に治療費を支払ってもらっている場合、保険会社に病院(整骨院)を変更する旨を事前に連絡しておくようにしましょう。
保険会社に連絡せず、無断で転院してしまうと、治療費の支払いに関してトラブルになってしまう可能性があります。
今の病院では十分な治療が受けられていないので病院を変更したいことや、病院の診療時間が短いことで通院することが困難であったり、転院先の病院で受けられる治療の特徴なども併せて保険会社に説明できるとなおよいでしょう。
転院することで怪我の回復につながる治療が受けられるなら、転院を拒否されてしまっても妥協してはいけません。
【コラム】交通事故について③
交通事故の治療費は加害者負担だが立て替え払いが必要なこともある
交通事故の治療費のしはらいについては、事故の相手方である加害者が任意保険に加入しているかどうかや、任意保険を利用するかどうかによって大きく変わってきます。
・事故の相手方が任意保険に加入している
交通事故に遭った被害者が病院に行った際、通常は相手方の保険会社が治療費を代わりに支払ってくれます。これを「任意一括対応」といいます。
・事故の相手方が任意保険未加入、または任意保険を使ってくれない
相手方が任意保険に加入していなかったり、翌年からの保険料が上がることを敬遠して任意保険をつかってくれないことがあります。
そのような場合は、強制加入保険である相手方の自賠責保険を利用するか、自分の自動車保険についている人身傷害保険を利用して治療費を支払ってもらうことが可能です。
相手方の自賠責保険を利用する場合は、被害者本人が行う被害者請求という手続きをとることになります。
また、いったん被害者本人が治療費を立て替えで支払った後、相手方に請求することも可能です。その場合は必ず領収書を保管しておきましょう。
【コラム】交通事故について②
整骨院など病院以外で治療を受ける流れと注意点
整骨院で交通事故の治療を受けるための流れは以下の通りです。
1.整形外科などで医師の診断を受ける
2.整骨院に通う旨を相手方の保険会社に伝える
3.整骨院に通い始める
4.1か月に1回以上、病院で診断してもらう
5.治療の必要性がなくなるまで、病院と整骨院を併用して通い続ける
病院の医師に積極的に、「整骨院に行く」という話はあまりしない方がよいでしょう。(他院に行くのを嫌がる医師がいらっしゃいます)
不明・不安な点は当院にご相談下さい。
無資格者の施術料は請求できない
通常、整骨院では柔道整復師の資格を有した者が施術を行っているため、上記した手順により整骨院でかかった費用はほとんどが窓口負担はゼロです。
また、按摩マッサージ指圧師、鍼灸師なども国家資格なので、これらの施術をうけることについて医師の許可を得た場合であれば施術料を請求できるでしょう。
しかし、施術師が国家資格を有しない場合、治療行為と認められず、施術料を相手方の保険会社に支払ってもらえない可能性が高くなります。
整体院やカイロプラクティックなどは国家資格を有していなくても開設できるためご注意下さい。
【コラム】交通事故について①
整骨院と整形外科のどちらに通うのが正解?
交通事故の治療をすることになった場合、最初に病院で医師に診断してもらうことで適切な慰謝料を支払ってもらえる可能性が高まります。
整骨院や接骨院などに通うと適切な慰謝料を支払ってもらえないという意味ではありません。正しい手順を守れば整骨院の治療(施術)であってもしっかり治療費は支払われます。
では、その正しい治療の流れ・手順とはどのようなものなのでしょうか。
また、交通事故でむちうちを負った場合、一般的に治療期間はどの程度になるものなのでしょうか?
ここでは、交通事故後の治療の流れ、治療期間などを一通り解説していきます。しっかり目を通して適切な治療と妥当な補償をうけられるようにするための知識を身に着けていきましょう。
事故直後は整形外科などの病院へ行こう
事故直後は自覚症状がなくても、数日後に身体が痛むといった症状が出ることもあります。
そのため、特に強い自覚症状が出ていない場合でも、病院を受診し、違和感を感じるすべての部位を医師にしっかり伝え検査してもらうことが重要です。
(後から部位を追加するのは手間がかかるので、わずかな痛み・違和感でも遠慮せずしっかり「痛む」と伝えておく)
また、病院で受診してもらった際は、診断書を作成してもらうことを忘れないようにしましょう。
後で診断書を警察に提出すれば、人身事故扱いにすることができます。人身事故になれば相手方の保険会社から支払われる慰謝料も高額になりやすいため、
事故で怪我を負った場合は、診断書を作成してもらうことが重要です。
事故直後に治療を受けた病院で後遺障害診断書を作成してもらう
交通事故直後に病院(整形外科)に行くべき理由として、後遺症が残った場合に、事故直後から診察し、治療の過程を詳細に診てきた医師に「後遺障害診断書」を作成してもらう必要があるからです。
病院よりも先に整骨院などに行って治療(施術)を受けてしまうと、事故のケガと後遺症の因果関係を証明することが困難になるからです。
後遺障害診断書は後遺障害等級の認定で非常に重要な資料となります。
後遺障害であることの認定をうけると、後遺障害慰謝料の請求が可能となります。
【コラム】腰痛症についてのQ&A
腰が痛いときにもエクササイズを行った方がよいか?
腰痛症の原因はさまざまであり、場合によっては内臓疾患による痛みの可能性もあります。したがって腰の痛みを感じたら、痛みの原因を明確にするためにも、
まずは当院に相談することをお奨めします。基本的には急性的な痛みが出た場合、痛みが出始めて2~3日程度はエクササイズの実施を避け、安静やマッサージ等の受動的対処に努めたほうがよいといえるでしょう。
そして救世的な痛みが軽くなってきたら、痛みの原因を確認しながら少しずつエクササイズを行っていくとよいでしょう。
また、慢性的な腰痛症の場合、エクササイズをしながら痛みの程度を常に確認し、エクササイズ前より痛みが強く感じられるようであればエクササイズを中断し、当院にご相談いただければと思います。
当院で紹介するエクササイズは正しい動作が実施できていれば、基本的に腰部に著しい負荷がかかることはなく、エクササイズを行うことでむしろ腰の痛みが軽くなることが予想されます。
なぜなら、エクササイズに伴う筋温(筋肉の温度)の上昇、血流の増加に伴い、その痛みが解消されることがあるからです。
したがって、腰に痛みを感じる場合でもエクササイズを始めてみて、その痛みが解消されればそのままエクササイズを続けても問題ありません。
一方で、腰に痛みを感じながらエクササイズを始めて、その痛みがさらに強くなったら、無理をせずエクササイズを中断し、当院にご相談下さい。
朝、起きたときが特に痛みを感じますが、どうしたらよいですか?
睡眠は身体の疲れを回復させる上で必要不可欠なものですが、睡眠中は長時間にわたり同じ姿勢でいることが多く、筋肉をほとんど動かすことがありません。
筋肉は長時間動かさずにいると硬くなってしまうという特性を持っており、硬くなってしまった筋肉はその機能を充分に発揮することができなくなってしまいます。
私たちが朝起きた時に大きく背伸びをしたりするのは、硬くなった筋肉を元の状態に戻そうという自然な身体の反応であるとも考えられるのです。
そのような観点から考えれば、起床時に適切なエクササイズを行うことは腰痛症を改善するためばかりでなく、快適な日常生活を送る上で重要だといえるでしょう。
日常生活や仕事中などに気をつけることはありますか?
私たちは日常生活を送る中で不適切に同じ姿勢をとってしまうことが少なくありません。長時間にわたり同じ姿勢をとっていると、
同じ筋肉が持続的に力を発揮し続けなければならなかったり、ほとんど動かすことのない筋肉が生じたりして、知らず知らずの間に筋肉の機能が低下していることが多いのです。
なぜなら、筋肉は持続的に力を発揮したり、長時間動かさずにいると硬くなってしまうという特性を持っており、硬くなってしまった筋肉はその機能を充分に発揮することが出来なくなるからです。
筋肉がその機能を充分に発揮できなくなるからです。筋肉がその機能を充分に発揮することが出来なければ腰痛症の予防、改善は望めません。
したがって、硬くなってしまった筋肉は速やかに元の状態に戻さなければならないのですが、筋肉を元の状態に戻す為には日常生活や仕事の合間に簡単に実施できるエクササイズが必要です。
日頃からこまめに実施して、常に筋肉の状態を整えるようにしましょう。当院の施術に於いてエクササイズの指導をさせて頂いております。
エクササイズは毎日行った方がより効果があがる?
一般的に、筋力トレーニングは48時間以上の間隔を空けて実施することが望ましいといわれています。この根拠となっているのは「超回復の原理」という考え方です。
超回復の原理とは、筋力トレーニング等によって筋肉に負荷を与えると一時的に筋肉の機能が低下するものの、トレーニング後の休息と栄養摂取が充分であれば元のレベル以上に筋肉の機能が回復するという身体反応をいいます。
その超回復に必要とされる時間が概ね48時間であるといわれていることから、筋力トレーニングは48時間以上の間隔を空けて実施することが望ましいとされているのです。
しかしながら、当院で紹介するエクササイズは確かに筋力トレーニングも含みますが、その強度は一般的な筋力トレーニングの強度に比べるとはるかに低く、筋力に負荷を与えるというよりは、
筋肉に本来持つ機能を再学習させるという意味合いが強いものです。再学習という観点で考えれば、毎日実施することが望ましいといえます。
エクササイズをした後の腰の”張り”や筋肉痛と、腰痛の違いはどのように見分けることができる?
一般的にエクササイズを行うと筋肉痛が生じると認識されており、エクササイズ後に筋肉痛がなければ効果があがらないと考えている人も多いかもしれません。
しかし筋肉痛が生じるメカニズムについては未だ解明されていない部分も多く、必ずしも筋肉痛がなければ効果があがらない訳ではありません。
いずれにしても当院で紹介するエクササイズは筋機能の再学習といった意味合いが強く、一般的な筋力トレーニングから比べれば、
強度の低いエクササイズですので、著しい筋肉痛は生じないといえます。
しかしながら、個々の筋肉の状態や筋力レベルによっては、当院で紹介する比較的強度の低いものでも、エクササイズ後に筋肉痛を感じることが
あるかもしれません。
基本的に筋肉は腱を介して関節を跨ぐように骨に付着しているので、エクササイズ後に生じる筋肉痛と関節の痛みは、痛みの出る部位が異なるという点で容易に判別できます。
ところが、脊柱の椎間関節は他の関節構造と異なり、腰部の筋肉は必ずしも関節を跨いで付着している訳ではありません。
そのため、エクササイズ後の筋肉痛や筋肉の張りと腰の痛みを判別することは難しい場合があります。
エクササイズによる筋肉痛の場合、その痛みはエクササイズ終了後2~3日程度で解消されますが、3日以上経過しても痛みが解消されない場合は
筋肉痛以外の痛みである可能性があります。
また筋肉の状態や筋力レベル、痛みの感じ方には個人差があるので、必ずしも3日程度で筋肉痛が解消されるとは限りませんが、
1週間を経過してもなお痛みが解消しない場合は注意が必要になります。
したがってエクササイズ後に腰の痛みや張りを感じたら、無理をせずエクササイズを休み、痛みの状況を確認するようにしましょう。
また、基本的に筋肉痛の場合は筋温(筋肉の温度)の上昇、血流の上昇に伴い、痛みが解消されることが多いといえます。
したがって、腰に痛みや張りを感じる場合でも、エクササイズを始めてみて痛みや張りが解消されれば、そのままエクササイズをつづけても問題ありません。
一方で、腰に痛みや張りを感じながらエクササイズを始めて、その痛みがさらに強くなったら筋肉痛以外の痛みの可能性があります。
これは腰に痛みや張りを感じていない場合も同様です。エクササイズを始める前に腰に痛みや張りを感じていないが、エクササイズ開始後に痛みが出たという場合は、
無理をせずエクササイズを中断し、痛みの状況を確認しましょう。
気をつけたほうがいい腰の痛みは?
腰痛の場合、原因は様々であり、痛みの種類や程度も様々です。したがって一概には言えませんが、基本的にシビレを伴う痛みや嘔吐を伴う痛みは注意が必要となります。
痺れを伴う腰の痛みは、椎間板ヘルニアに代表されるような腰椎部の神経根が何らかの要因によって圧迫されることによって
生じるものが多いといえます。
状態によってはエクササイズが禁忌になる場合があります。
また、腰痛症に関連した痺れを伴う痛みとして、坐骨神経痛が知られています。坐骨神経は殿部にある梨状筋の下方を走る神経であり、神経根が圧迫されていなくても、
梨状筋が過緊張し硬くなると坐骨神経が圧迫され痺れを伴う痛みが生じることがあります。
この場合については梨状筋をストレッチ等で緩め、適切なエクササイズを行って本来の機能を取り戻すことによって痛みが緩和、改善されるケースが多くあります。
また安静時の痛み及び嘔吐を伴うような腰の痛みは内臓疾患が原因であることががあるので、必ず医師の診断を受けるようにしましょう。
腰痛にはどんな種類がある?
腰痛症の原因や種類はさまざまであり一概に分類することはできませんが、大きく分けると以下の5つに分類することが可能だとされています。
・骨性腰痛(骨折、脊髄腫瘍等)